成年後見人制度とは何かご存知ですか。
成年後見人制度とは、判断力の低下した人に代わってさまざまな事柄を判断して決定する人を選定し、該当者を法的に守るものです。
「相続には関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、遺産分割協議のときに相続人の中に判断力が低下した方がいると、保護のために協議が中断されます。
スムーズな協議を続けるためには、この制度が必要です。
今回は、相続時にも大切な成年後見人制度や遺産分割協議にフォーカスします。
相続時にも大切な「成年後見人」という制度とは?
成年後見人制度とは、簡単にいうと病気や事故などで判断能力が減退した人の権利・利益を保護するためのものです。
代理人が、本人に代わって財産を守ったり、不動産の処分や相続をすすめたりする役割を担います。
種類が「法定後見」と「任意後見」の2つに分かれています。
〈法定後見〉
本人の判断能力が減退したあとに裁判所によって選任されます。
本人を代理する権限を法的に与えられており、逆に本人は一定の財産的行為をする権利がなくなってしまいます。
そのため、本人が勝手に結んだ契約は後見人が取り消すことができるという強力な権限が与えられているのです。
就任の要件は厳格に定められており、誰でもなることができるわけではありません。
〈任意後見〉
本人が健康なうちに自分で選定できる制度です。
とはいえ、破産者や未成年者などは対象外になるので注意しましょう。
相続時の遺産分割協議と成年後見人の意外な関係とは?
成年後見人制度と遺産分割協議とは、一見何の関係もないようにみえますが、実は深いつながりがあるのです。
遺産分割協議で相続人の中に認知症などで判断能力の低下した人がいる場合、「相続人が欠けている」と判断されます。
なぜなら正常な判断ができないため、万が一本人が不利益な状態にあったとしても気が付かずに不利益を受容してしまう可能性があるためです。
そのため、遺産分割協議ではこの制度を利用する必要があります。
なかでも不動産は分割することが難しいため、より密な話合いが必要になってくるでしょう。
ですが、このようなケースでは協議ができないため(法定後見は手続きに3~6か月かかる)、もしもに備えて任意後見契約をしておくのもよいかもしれません。
不動産を長期間空き家状態にしておくと、固定資産税が増えるなどのリスクもあるので注意しましょう。
ただし、母が認知症で子が成年後見人の場合でも、遺産分割協議では子も相続人の1人になることから特別代理人を選定する必要があります。
法定後見では最終的な判断は裁判所が行いますが、後々のトラブルを防ぐためにも成年後見人の選定はじっくり行いましょう。
まとめ
今回は相続時にも大切な成年後見人制度や遺産分割協議について詳しくご紹介しましたが、いかがでしたか?
相続問題が発生してから慌てて選任しようとすると、時間がかかり、種々の不利益が生じてきます。
相続が争族にならないように事前に家族で話し合っておきましょう。
不動産に関することなら、弊社までお気軽にお問い合わせください。